海霧[浜松の自然]
(2009年04月12日 17:29) by footpath


<画像:001.jpg>落石岬や浜松をはじめとする根室半島の独特の自然を創り出している源は、この海で発生する海霧と考えてよい。海霧は陽射しを遮るだけでなく、冷たい空気を半島まで運び気温を冷涼なものとする。海抜の低い丘陵が続く半島なのに植生でいえば高山・高原系の植物、地域を特徴づける北方系の植物が多く見られる。
気候帯:ほぼ亜寒帯
北方系また特徴的な植物:
キヨシソウ・トモシリソウ・チシマフウロ・シベリアシオガマ・ネムロシオガマ・シコタンタンポポ(ネムロタンポポ)など
高山・高原系の植物:ハクサンチドリ・クロユリ・ツリガネニンジンなど

【海霧と産業】
また海霧はこの地の産業にも影響を与えた。明治時代の北海道開拓期には根室でも畑作が試みられたが、養分低い土地と何といっても寒すぎるといっていいほどの冷涼な気候に不作が続き、畜産(馬・乳牛)に転換して行く。ここの気候は酪農には最適で、霧に含まれる海からミネラル分により良質な牧草が育ち、何より冷涼な環境は乳牛の健康維持には欠かせなく、それは乳質にもよい結果を現してくれている。海霧と酪農との関係は非常に密接だといえる。
 その霧がどうして発生するのかというと、寒流の千島海流と暖流の日本海流が根室半島沖を含めた道東沖でぶつかることによって起こる。暖流の日本海流とともにやって来た南の暖かな空気には、たくさんの水蒸気(気体状態の水分)が含まれているが、寒流の千島海流上の冷たい空気と出合うと急激に冷やされ、空気中の飽和水蒸気量(水分を保持できる量気・温が高いほど大きい)の値が落ち、行き場のなくなった水蒸気は気体から個体、つまり霧となって現れる。

 この現象が海の上で起きている時、海の中では暖流と寒流がぶつかっているのが、それは容易に交わるものではなく寒流は針路を変え海底方向に沈み込む。その流れは海底に養分として蓄えられている窒素やリンを多く含んだ海水を海面へと押し上げる。これが湧昇流で、この養分の豊富な海水は太陽光により植物性プランクトンを大量に発生させ、食物連鎖の流れとして多くの魚介類を育てている。それは多くの海鳥やアザラシなど海獣の仲間、クジラなどが生息でき、多くの人が漁業を営んでいける海を育てている。


コメント(1)
次の記事へ >
< 前の記事へ
TOPへ戻る

Powered by
MT4i 3.0.8